歯周病の病因論:20世紀から21世紀へ
2025年12月1日KO DH
歯周病の「原因」は時代とともに大きく変わってきました。あなたの病因論は21世紀型になっていますか?
みなさんは、歯周病の原因について、患者さんへどのように説明していますか?「磨き残しが悪い」「歯石をとりましょう」——その説明、20世紀の常識で止まっていないでしょうか。
病因論は5つの時代に分かれる
①歯石の時代(紀元前400年〜1955年頃):歯石こそが主原因。除去すれば治る、という発想。
②非特異的プラークの時代(1960年代):プラーク中の細菌が原因と証明。プラークの「量」が問題とされた。
③特異的細菌の時代(1970年代):縁上と縁下でプラーク組成が異なることが判明。「量よりも質」の時代。
④宿主と細菌の関係の時代(1980年代):宿主の防御反応が疾患を進行させると考えられ始めた。
⑤宿主と疾患修飾因子の時代(1990年代〜現在):遺伝的・環境的・後天的リスクファクターと細菌の相互作用で歯周炎の多様性が生まれると理解されている。
プラークコントロールの意義は変わらない
病因論が変わっても、プラークコントロールの重要性は不変です。変わったのは「量だけでなく質(菌の種類)も重要」「宿主の応答を介して組織が破壊される」という視点です。また細菌は家族間で伝染しますが「細菌の伝染=歯周病の伝染」ではありません。宿主の状態が発症の鍵を握っています。
まとめ:個別のリスクを踏まえた説明を
「なぜあなたは歯周病になりやすいのか」を個別に説明できるようになりましょう。喫煙者には「喫煙がリスクを高める」、家族歴がある方には「遺伝的感受性」を丁寧に伝えることで、予防行動が変わります。
臨床でどう活かす?病因論の5段階を知ることで、患者さんの状況に合わせた「なぜあなたは歯周病なのか」の説明が可能になります。「細菌・宿主・リスクファクターの相互作用」という枠組みで伝えることで、定期ケアへの動機づけが大きく変わります。
参考:熊谷崇ほか「実践ペリオドントロジー」医歯薬出版(2002)/ 天野敦雄「21世紀のペリオドントロジー ダイジェスト」クインテッセンス出版(2015)
それでは、また次回〜🦷✨