バイオフィルムは「量」より「質」が問題
2025年12月3日KO DH
プラークが少なければ歯周病にならない、とは言い切れません。バイオフィルムの「質」について考えてみます。
「毎日ちゃんと磨いているのに、なぜ歯周病が進むの?」——こんな患者さんに、どう答えますか?そこに欠けているのがバイオフィルムの「質」という視点です。
バイオフィルムの形成プロセス
歯面清掃直後、まず「獲得ペリクル」という薄い膜が形成されます。そこに最初の細菌が付着し(2時間以内)、互いに共凝集しながらプラークが成長。やがて細菌たちはグリコカリックス(菌体外多糖)を分泌し、多糖に包まれた集合体=バイオフィルムが完成します。成熟には約3日かかります。
グリコカリックスが厄介な要因です。好中球などの免疫細胞や抗菌薬の働きを著しく阻害し、バイオフィルム内部の細菌を守る要塞となります。
「量よりも質」の意味
歯肉縁下プラークの環境は縁上と全く異なります。縁上は好気性菌が多い一方、縁下は嫌気性環境でグラム陰性菌が増殖しやすい。同じ「プラーク」でも、縁下では歯周病原性の高い菌種が優勢になりやすい構造です。バイオフィルム内の多様な微小環境(pH・酸素分圧・栄養素の勾配)が多くの菌種の共存を可能にしています。
ただし、量も質を決める一因
プラークの量が増えれば縁下環境が嫌気的になりやすく、病原性の高い菌が増殖しやすくなります。「量=質を決める一因」と考えると、プラークコントロールの意義は引き続き大きいと言えます。
臨床でどう活かす?「頑張って磨いています」という患者さんには「量ではなく質、縁下の菌の種類が問題です」と伝えましょう。定期的なプロフェッショナルケアが縁下バイオフィルムをリセットする唯一の手段であることを具体的に説明できると、来院動機につながります。
参考:熊谷崇ほか「実践ペリオドントロジー」医歯薬出版(2002)/ 天野敦雄「21世紀のペリオドントロジー ダイジェスト」クインテッセンス出版(2015)
それでは、また次回〜🦷✨