「フッ素は苦手」と言われたときに提案できる、フッ化物以外のう蝕予防手段を20件の研究からまとめた報告を紹介します。ハイドロキシアパタイトやCPP-ACP、バイオアクティブガラスには再石灰化を後押しする効果が、ブドウ種子エキスやプロバイオティクスには菌の抑制で一定の効果が報告されていました。患者さんの状況に合わせて提案できる引き出しを増やすために整理しています。
今回参考にした論文は、Tiwariほかによる「A Systematic Review on a Variety of Alternate Fluoride Options Effective in Preventing Dental Caries」(Journal of Pharmacy & Bioallied Sciences 18(Suppl 1), 2025)です。フッ化物以外のう蝕予防手段について、20件の研究をまとめて整理した報告です。
フッ化物を避けたい患者は珍しくない
フッ化物によるう蝕予防は効果が高い一方、フッ化物を避けたいと考える患者さんは一定数います。この論文では、そうした患者さんにも使える代替手段を探すために、これまでに行われた20件の研究を集めて整理しています。取り上げられた薬剤・材料は次のとおりです。
- ブドウ種子エキス
- ハイドロキシアパタイト
- CPP-ACP(乳由来のカルシウムとリン酸を歯に届け、再石灰化を助ける成分)
- プロバイオティクス
- バイオアクティブガラス
フッ化物を含まない選択肢でも、再石灰化や菌の抑制に手応えあり
調査の結果、フッ化物を使わなくても再石灰化や菌の抑制に役立つ選択肢が複数報告されていました。
- ハイドロキシアパタイト配合の歯磨き粉:脱灰を抑えて再石灰化を促す働きが、フッ化物入りの歯磨き粉とほぼ同じくらい再石灰化の効果があることを確認
- CPP-ACP、バイオアクティブガラス:エナメル質の再石灰化を後押しする効果を確認
- ブドウ種子エキス(プロアントシアニジン):抗菌作用とコラーゲンを安定させる働き
- テオブロミン(カカオ由来の成分):比較した研究の中でフッ化ナトリウムよりもエナメル質の表面硬度を高めたという結果
- プロバイオティクス:う蝕の原因菌を減らす手段として一定の効果
現場でどう活かす?
「フッ素は苦手」と言われたときに、フッ化物入り製品を勧めるのをやめるだけで終わらせず、根拠のある代替手段をいくつか自分の引き出しとして持っておくと、患者さんへの説明に幅が出そうです。
- ハイドロキシアパタイトやCPP-ACP配合の歯磨き粉・ペースト、キシリトールガムなど、代替手段の候補を把握しておく
- 問診で「フッ素が苦手」という申告があったときは、その理由(味、過敏感、着色への不安など)まで聞き取り、どの代替案が合いそうか判断する
- 代替手段を勧めたあとは、次回来院時に知覚過敏などの変化がないか確認する習慣をつける
おわりに
フッ化物が苦手な患者さんにも、伝えられる選択肢は一つではありません。手持ちのカードを増やしておくことが、患者さんとの信頼関係づくりにもつながっていきそうですね。
参考文献
Tiwari K, Annaldasula S, Bhadani N, et al. A Systematic Review on a Variety of Alternate Fluoride Options Effective in Preventing Dental Caries. J Pharm Bioallied Sci. 2025;18(Suppl 1):S17-S19.(フッ化物以外のう蝕予防手段20件をまとめた報告)
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それでは、また次回〜!