SPTにおけるSRPとエアポリッシング、効果に差はあるのか
SPTに通う患者41名を対象に、エアポリッシング中心の処置と従来のSRPを1年間比較した試験を紹介します。根分岐部病変の改善はエアポリッシング側が優位だった一方、施術中の痛みの少なさはSRP側が優位でした。器具を二者択一で決めるのではなく、患者さんごとに使い分けるための視点を整理しています。
今回参考にした論文は、Stähliほかによる「Clinical evaluation of a novel protocol for supportive periodontal care: A randomized controlled clinical trial」(Journal of Periodontology, 2024)です。
歯周治療後のSPTでは、バイオフィルムと歯石の除去方法として、手用キュレットや超音波スケーラーによるSRPが従来から行われてきました。近年はエアポリッシングも普及し、根面への機械的刺激が少ない方法として注目されています。この研究では、SPTに通う患者41名を対象に、エアポリッシング中心の群(GBM)と、キュレット・超音波スケーラーによる従来のSRP群を比較しています。
SRPとエアポリッシングを比較した1年間の試験
この研究では、SPTに通う患者を次の2群に分けました。
- GBM群:エアポリッシング中心(キュレットは使用しない)
- SRP群:キュレット+超音波+ラバーカップ研磨
対象は、少なくとも3年以上前に歯周治療を終え、良好にメインテナンスを継続している患者に限定されています。1年後に、次の項目を比較しました。
- BOP
- ポケット深さ
- 歯肉退縮
- 根分岐部病変
- 痛みや満足度
根分岐部病変はエアポリッシングに分あり、痛みはSRPが少ない
1年後の結果は、次のとおりです。
- BOPは両群とも開始時より改善
- ポケット深さ・歯肉退縮は2群間で大きな違いなし
- 根分岐部病変はGBM群のほうが改善の傾向が大きい
- 施術中の痛みはSRP群のほうが少ない
- 満足度は両群で同程度
- 治療時間も両群で大きな差なし
根分岐部病変については、エアポリッシングは狭い根分岐部にもパウダーが届きやすいことが関係しているのではないでしょうか。
一方、施術中の痛みについては、エアポリッシングは根面に触れないぶん低刺激と思われがちですが、パウダーの噴射自体に痛みを感じる患者さんもいる、という結果となりました。エアポリッシングだからといって痛みが全くなく、むしろ弱い痛みが断続的に続くことに不快感を感じる患者も一定数いることが示されました。
現場でどう活かす?
この結果から見えてくるのは、良好にメインテナンスできている患者さんであれば、器具の選択肢はひとつではない、ということです。「いつも同じ器具・同じ手順」で進めるのではなく、患者さんの状態に合わせて選択肢を柔軟に持っておきたいところです。
- 根分岐部にアクセスしづらいと感じたときは、エアポリッシングを積極的に取り入れてみる
- 痛みに敏感な患者さんには、エアポリッシングの方が良いというわけではない
- 患者さんの根面の状態や過去の反応を振り返りながら、その日のSPTに合った方法を選ぶ
おわりに
「SRPかエアポリッシングか」を二者択一で考えるのではなく、患者さんごとに使い分ける引き出しを増やしていく。そんな視点が、これからのSPTには求められているのかもしれませんね。
参考文献
Stähli A, Ferrari J, Schatzmann AS, et al. Clinical evaluation of a novel protocol for supportive periodontal care: A randomized controlled clinical trial. J Periodontol. 2024;95(11):1025-1034.
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それでは、また次回〜!