インプラント周囲粘膜炎の原因・診断・治療をまとめたレビューを紹介します。出血や発赤があっても、レントゲン上の骨吸収が起きていない段階であれば、機械的な清掃を中心とした非外科的な治療で元の健康な状態に戻すことが期待できると整理されています。骨吸収が始まる前の「引き返せる段階」で気づくために、SPTで何を見ておくとよいかという視点でまとめました。
今回参考にした論文は、Pereiraらによる「Treatment Strategies for Peri-Implant Mucositis: The Final Stop for Preventing Peri-Implantitis」(International Journal of Dentistry, 2025年)です。
この論文では、インプラント周囲粘膜炎の原因・リスク因子・診断基準・治療法について、これまでの研究をまとめて整理しています。
インプラント周囲粘膜炎:歯ぐきに赤みや腫れが見られ、歯磨き時に出血することがあります。この段階では痛みを感じることがほとんどありません。骨吸収は起きていません。
インプラント周囲炎:炎症が骨(歯槽骨)にまで広がり、膿が出る、インプラントがぐらつく、噛むと痛むといった症状が現れます。放置すると最終的にインプラントが抜け落ちてしまいます。
インプラント周囲粘膜炎は「バイオフィルムが主因」の可逆的な段階
この論文では、インプラント周囲粘膜炎の主な原因は細菌のバイオフィルムの蓄積であり、口腔清掃状態の不良、喫煙、コントロール不良の糖尿病、インプラント表面の性状や補綴物の形態といった局所的な要因もリスクを高めると整理されています。
インプラント周囲炎は骨吸収が起きており、一度発症してまうと元の状態に戻すことはできません。一方で、インプラント周囲粘膜炎は骨吸収が起きる前の段階で、元の健康な状態に戻すことが可能です。そのため、骨吸収が始まる前の「引き返せる段階」で気づくことが、インプラント周囲炎を防ぐ鍵になるということになります。
インプラント周囲粘膜炎の治療方法について
この論文では、機械的なデブライドメントや光線力学療法(PDT、光を当てて細菌を減らす治療)といった非外科的な治療は効果が期待できるとしています。しかし、それ以外の補助的な治療法の効果については、まだ結論が出ていないとされています。
このことから、標準的な歯周治療を実施しつつ、その後の継続的なメインテナンスが土台になりそうです。
参考文献
Pereira R, Sabri H, Nava P, Alrmali A, Wang HL. Treatment Strategies for Peri-Implant Mucositis: The Final Stop for Preventing Peri-Implantitis. Int J Dent. 2025.(インプラント周囲粘膜炎の病因・診断・治療法をまとめたレビュー)
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