アライナー治療中の歯肉炎に関する10代と成人の差
クリアアライナー治療中の10代と成人、合計120名を対象に、歯肉炎の起こりやすさと口腔衛生指導の効果を調べた研究を紹介します。10代は成人より歯肉炎になりやすいことが示され、年代に合わせたセルフケア支援のポイントを整理しました。
今回参考にした論文は、Zhangらによる「Impact of clear aligners on gingivitis incidence and prevention strategies in adolescents and adults: a prospective observational study」(BMC Oral Health, 2025年)です。
この論文では、アライナー(マウスピース型の透明な矯正装置)による治療を受けている10代と成人、合計120名を対象に、歯肉炎の起こりやすさと、口腔衛生指導の効果を調べています。
「アライナーは目立たないから衛生管理も楽」というイメージのまま、患者さんに説明してしまうことがあります。
10代は成人より歯肉炎になりやすい
対象者は10代グループ(66名)と成人グループ(54名)に分けられ、それぞれさらに、個別の口腔衛生指導を受けるグループと、いつも通りの生活を続けるグループに分けて比較されています。
結果を見てみると、10代は成人と比べて、歯肉炎になる割合がはっきり高いことが分かりました。
10代グループの中では、個別指導を受けたグループの方が、歯肉の腫れや出血の程度を示す指標が高いという結果も見られました。一方で成人グループでは、指導の有無による差ははっきりしませんでした。
ただし、「指導したのに悪化した」わけではなさそう
一方で、この結果だけを見ると「指導したグループの方が悪化した」ように見えますが、論文では、10代は装置の管理そのものに慣れていないことや、成長期特有の歯肉の反応が影響した可能性にも触れています。
指導の効果がなかったというより、10代には成人とは違う関わり方が必要という解釈の方が適切かもしれません。
まとめ:年代に合わせた声かけを
- 10代の患者さんには → アライナーの着脱・洗浄の手順を、実際にやってもらいながら確認する
- 保護者にも一緒に → 装置の管理は保護者のサポートも交えて伝える
- 成人の患者さんには → 装着時間の長さそのものが清掃の機会を減らしている点を意識してもらう
「目立たない矯正だから楽」ではなく、「装置をつけている時間が長いからこそ清掃が大事」という伝え方に変えていけそうです。
参考文献
Zhang H, Bi S, Zhang X. Impact of clear aligners on gingivitis incidence and prevention strategies in adolescents and adults: a prospective observational study. BMC Oral Health. 2025;25(1).(アライナー治療中の歯肉炎発生率と口腔衛生指導の効果を年代別に調べた前向き観察研究)
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