なぜ「学び続ける歯科衛生士」は強いのか?
「学校で習ったはずなのに、最近うまく説明できない」と感じたことはありませんか?経験年数と臨床力の関係を、生涯学習のエビデンスから整理します。
今回参考にしたのは、医療職の「生涯学習(CPD:Continuing Professional Development)」と臨床能力の関係を扱った一連の研究です。専門職のスキルや知識が、時間とともにどう変化するのかを検討しています。
日々の臨床の中で、「学校で習ったはずなのに、最近うまく説明できない」「なんとなく今までのやり方を続けている」と感じることはありませんか?実はこれは、サボっているからではなく、知識やスキルは使わなければ自然と薄れていくという、ヒトに共通する性質によるものです。
なぜ「学び続ける人」は強いのか
医療職を対象とした研究では、卒後の経験年数が長いことが、必ずしも知識の新しさや臨床成績の高さに結びつかないことが繰り返し示されています。むしろ、最新のエビデンスから離れてしまうことで、「経験はあるのに、推奨される標準から少しずつズレていく」という現象が起こりうるのです。
これは、記憶や手技が時間とともに減衰する(competence decay)ためで、定期的に学び直し・振り返りを行う人ほど、知識と技術を高い水準で保ちやすいと考えられています。
「振り返り」が学びを定着させる
ここで注目したいのが、ただ研修を受けるだけでなく、自分の臨床を振り返る(reflective practice)ことの効果です。「あの患者さんへの説明はなぜ伝わらなかったのか」を一度立ち止まって考えるプロセスが、知識を実際の行動に結びつけると報告されています。
つまり、学びとは「インプットの量」だけでなく、現場の経験と知識を行き来させる習慣そのものだ、ということになります。
ただし、「学べば学ぶほど良い」わけではない
一方で、闇雲に情報を集めればよいわけではありません。情報が多すぎて消化しきれなかったり、出典の怪しい情報に振り回されたりすれば、かえって判断がぶれてしまいます。
大切なのは量より、「信頼できる情報源を、無理のないペースで、継続的に」という姿勢です。月に1本論文を読む、勉強会で1つ気づきを持ち帰る——その積み重ねのほうが、一夜漬けの大量インプットより力になるのではないでしょうか。
キャリアの長さは「年数」ではなく、「学び続けた密度」で決まるのかもしれません。焦らず、自分のペースで知識をアップデートしていけるといいですね。
参考:Choudhry NK, Fletcher RH, Soumerai SB「Systematic review: the relationship between clinical experience and quality of health care」Annals of Internal Medicine 142(2005) / Mann K, Gordon J, MacLeod A「Reflection and reflective practice in health professions education」Advances in Health Sciences Education 14(2009)
それでは、また次回〜🦷✨