フッ化物バーニッシュ、どれくらい効く?──予防割合43%の意味と、回数・濃度が決まっていない理由
「フッ素は効きますか」に数字で答えられますか。Cochraneレビューでは、フッ化物バーニッシュは永久歯で43%、乳歯で37%のう蝕面を減らしていました(中等度の確実性)。この予防割合の読み方と、塗布回数・濃度が決まっていない理由、シーラントとの使い分けを整理します。
今回参考にした論文は、MarinhoらのCochraneレビュー「Fluoride varnishes for preventing dental caries in children and adolescents」(2013年)です。
保護者さんに「フッ素って本当に効くんですか?」と聞かれて、少し言葉に詰まったことはありませんか?
数字で言うと、どれくらい効くのか
このレビューには、1975〜2012年に発表された22の試験、のべ12,455人の子どもが含まれています。
結果は、フッ化物バーニッシュを塗ったグループでは、プラセボまたは無処置とくらべて、永久歯のう蝕面が約43%減っていました。
乳歯では約37%です。
ここでの「約43%」は予防割合(prevented fraction)と呼ばれるもので、「何もしなかった場合に発生したはずのう蝕面のうち、どれだけを防げたか」を表します。
つまり「う蝕がゼロになる」ではなく、「起きるはずだったもののうち4割前後を減らせる」という読み方になります。
いずれも中等度の確実性の根拠とされています。
ただし、書かれていないこともあります
ただし、このレビューは塗布の回数・濃度・年齢による効果の違いまでは、はっきり示していません。
含まれた試験の多くは年2回程度の塗布でしたが、「何回が最適か」を決められるほどのデータではないとされています。
一方で、副作用についての報告もごく限られており、安全性を積極的に示せるほどの情報も揃っていない、という誠実な限界があります。
だからこそ、回数はう蝕リスクに応じて個別に判断する、という現場の運用が現実的なのではないでしょうか。
シーラントとどちらを選ぶ?
シーラントとフッ化物バーニッシュを直接比較したCochraneレビュー(2020年)では、どちらが優れているか結論は出ていません。
「裂溝が深い萌出直後の臼歯」と「平滑面・隣接面まで含めた全体のリスク」では、そもそも守りたい場所が違います。
対立させるより、リスク部位で使い分けると考えたほうが臨床には合っていそうです。
明日からの臨床に
保護者さんへの説明では、「塗れば虫歯にならない」ではなく、「起きるはずだった虫歯の4割くらいを減らせる方法です」と伝えてみてはいかがでしょうか。
数字が入るだけで期待値のズレが減り、ブラッシングや食習慣の話にもつなげやすくなるかもしれません。
ご意見やご質問があれば、ぜひコメントで教えてください。
それでは、また次回〜🦷✨
参考文献Marinho VC, Worthington HV, Walsh T, Clarkson JE. Fluoride varnishes for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev. 2013;2013(7):CD002279.
Kashbour W, Gupta P, Worthington HV, Boyers D. Pit and fissure sealants versus fluoride varnishes for preventing dental decay in the permanent teeth of children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev. 2020;11(11):CD003067.