シーラント、いつ・誰に勧める?──効果は2年で明確、でも「入れて終わり」ではない理由
6歳臼歯にシーラント、入れるか迷いますよね。Cochraneレビューでは24か月後のう蝕がはっきり減る一方、長期データは限られます。効果の大きさと限界、そして「誰に・どこまで」の判断ポイントを整理します。
今回参考にした論文は、Cochraneレビュー「Pit and fissure sealants for preventing dental decay in permanent teeth」(2017年)です。
6歳臼歯が生えてきたお子さんを前に、「この子にシーラント、入れたほうがいいのかな」と迷うことはありませんか?
シーラントはどれくらい効くのか
このレビューでは、5〜10歳の子どもの第一大臼歯を対象にした7つの試験(1,322人を評価)がまとめられています。
レジン系シーラントを塗った歯は、何もしなかった歯にくらべて、24か月後のう蝕発生が明らかに少なくなっていました(オッズ比0.12、95%信頼区間0.08〜0.19)。オッズ比は「起こりやすさの比」で、1より小さいほど予防的、という意味です。
具体的な数字にすると、対照群の16%がう蝕になる集団では、シーラント群は約5%まで下がる計算になります。対照群のう蝕が40%という高リスク集団なら、シーラント群は約6%です。分母が大きい集団ほど、シーラント1本あたりの「助かる歯」は増えるということですね。
ただし、万能ではありません
ただし、レビューの著者は48か月を超える長期のデータについて、量も質も落ちると明記しています。つまり「一度塗れば一生安心」ではなく、効果が確認されているのはあくまで数年のスパンだと考えたほうがよさそうです。
一方で、脱離した状態を放置すればその予防効果も失われますから、リコール時の脱離チェックは実質的に処置の一部だと言えるのではないでしょうか。また、う蝕リスクの低い子で同じだけの上乗せが得られるかは、まだはっきりしていません。
フッ化物バーニッシュと比べるとどう?
「シーラントとフッ化物バーニッシュ、どちらがいいの?」という疑問もよく聞きます。この2つを直接比べた別のCochraneレビュー(2020年)では、どちらが優れているか結論は出ていません。エビデンスの確実性が低く、優劣を断定できる段階ではない、という整理です。
そう考えると、「どちらか」ではなく、萌出途中の裂溝が深い歯にはシーラント、平滑面や広い範囲のリスクにはバーニッシュ、という使い分けが現実的かもしれません。
明日からの臨床に
判断のポイントは、①萌出状態(防湿できるか)、②裂溝の形態、③その子のう蝕リスク、④リコールに来られるか、の4つに整理できそうです。「入れるか入れないか」ではなく、「入れたあと誰がどう見ていくか」まで含めて提案できると、DHの説明はぐっと説得力が増すのではないでしょうか。
それでは、また次回〜🦷✨
参考文献
Ahovuo-Saloranta A, Forss H, Walsh T, Nordblad A, Mäkelä M, Worthington HV. Pit and fissure sealants for preventing dental decay in permanent teeth. Cochrane Database Syst Rev. 2017;7(7):CD001830.
Kashbour W, Gupta P, Worthington HV, Boyers D. Pit and fissure sealants versus fluoride varnishes for preventing dental decay in the permanent teeth of children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev. 2020;11(11):CD003067.
Marinho VC, Worthington HV, Walsh T, Clarkson JE. Fluoride varnishes for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev. 2013;2013(7):CD002279.