SRPの新たな治療法(i-PRF併用法)に関する報告
喫煙者の中等度〜重度歯周炎患者を対象に、SRPにi-PRFを併用した場合の効果を調べた研究を紹介します。SRP単独よりも、i-PRFを併用した側の方がポケットの深さやアタッチメントレベルの改善が大きく、出血もほぼゼロに近いところまで低下することが分かりました。
今回参考にした論文は、Gürbüz TÇとYıldıran BMによる「The clinical efficacy of injectable platelet-rich fibrin (i-PRF) as an adjunct to nonsurgical periodontal therapy in smokers with periodontitis」(BMC Oral Health. 2025;25:618.)です。この研究では、喫煙者の中等度〜重度歯周炎患者25名を対象に、次の2つの部位を同一患者の口腔内で比較しています。
- SRPのみを行った部位
- SRPにi-PRF(自己血由来の多血小板フィブリン)を併用した部位
研究の背景と方法
喫煙は歯周組織の血流や免疫反応に影響することが知られています。この研究では、SRPを行うだけでなく、そこにi-PRFを併用することで、喫煙者の治療結果がどこまで変わるかを確かめています。
i-PRFとは、患者さん自身の血液を少量採取し、抗凝固剤を使わずに遠心分離機にかけて作る液体成分です。分離する過程で、血小板や白血球に含まれる、傷の治りを促す成分が濃縮された状態になります。これを歯周ポケットの中に注入することで、SRPで清掃した後の組織の治癒をサポートする目的で使われます。患者さん自身の血液から作るため、外部から異物を入れるような拒絶反応のリスクが少ないという特徴もあります。
対象は、1日10本以上・5年以上の喫煙歴がある患者です。同じ患者の口の中で左右の奥歯を使い、次の条件を比較しました。
- 片側:SRPのみ
- もう片側:SRPに加えて、患者自身の血液から作った多血小板フィブリンを歯周ポケット内に注入
評価のタイミングは、治療前・1ヶ月後・3ヶ月後の3時点です。評価項目は、ポケットの深さ、アタッチメントレベル、出血の有無でした。
SRP単独よりも、i-PRF併用でより深く改善していた
SRPのみを行った側の結果は、次のとおりです。
- ポケットの深さ:治療前は平均5.6mm→3ヶ月後には平均2.9mmほどに改善
- アタッチメントレベル:同じくらいの幅で改善
- プロービング時の出血あり:治療前は9割ほど→3ヶ月後には2割ほどに低下
一方、SRPにi-PRFを併用した側の結果は、次のとおりです。
- ポケットの深さ:治療前は平均5.9mm→3ヶ月後には平均2.5mmほどに改善
- アタッチメントレベル:治療前は平均6.0mm→3ヶ月後には平均2.7mmほどに改善
- プロービング時の出血あり:治療前は9割ほど→3ヶ月後には4%ほどまで低下
同じSRPという処置でも、i-PRFを併用した側の方が、ポケットの深さもアタッチメントレベルも、より深いところまで改善が進んでいます。特に出血については、SRPのみの側が2割ほど残るのに対し、i-PRF併用側はほぼゼロに近いところまで下がっていて、この上乗せ効果がいちばんはっきり出ていた部分です。
つまり、同じSRPという処置でも、i-PRFを併用することで、喫煙者に対する改善効果をさらに底上げできる可能性があるということです。
現場でどう活かす?
今回ご紹介しているi-PRFはあくまで「補助」であるため、前提としてSRPでしっかりと改善が期待できる状態を作ることが基本です。そのうえで、出血や炎症がなかなか落ち着きにくいケースでは、i-PRFのような上乗せの選択肢があることも知っておくと、説明の幅が広がりそうです。現在、i-PRFは日本では先端医療になるため、自費診療かつ様々な機器が必要になるため、大学病院など一部の施設でしか実施されていません。ただし、今後さらに普及する可能性もあるため、こういった治療法があることも把握しておくことは重要です。
参考文献
Gürbüz TÇ, Yıldıran BM. The clinical efficacy of injectable platelet-rich fibrin (i-PRF) as an adjunct to nonsurgical periodontal therapy in smokers with periodontitis. BMC Oral Health. 2025;25:618.(喫煙者を対象に、SRP単独とSRP+i-PRF併用の臨床効果を比較した試験)
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