マイクロビオームと共生関係の崩壊
2026年1月11日KO DH
私たちは常在菌と共生して生きています。その共生が崩れると歯周病が始まります。
「マイクロビオーム」という言葉を聞いたことはありますか?実はこの概念が歯周病の発症を考える上でとても大切な視点を与えてくれています。
ヒトは常在菌と共生して生きている
マイクロビオームとは、ヒトの体に存在する常在微生物叢の総称です。口腔内には約700種以上の常在菌が存在し、複雑なコミュニティを形成しています。通常、これらの常在菌はヒトと共生関係にあります。病原菌の外来定着を防ぐ「コロニー抵抗性」の役割も担っており、バイオフィルムの病原性が低い状態では宿主の防御機構の一部として機能しています。
共生が崩れると歯周病が始まる
歯周ポケット内で出血が起きると、鉄分の豊富な血液が供給されます。P.g菌などの病原性の高い菌は鉄分を栄養源としており、この環境変化が病原性菌の爆発的増殖を助け、共生関係を崩す引き金となります。細菌叢が「ディスバイオシス(dysbiosis)」と呼ばれる病的な状態に移行すると、炎症が悪化し骨の破壊が加速します。
まとめ:「菌を全滅させる」から「共生を守る」へ
歯周病予防の目標は「菌をゼロにすること」ではなく、「マイクロビオームとの共生関係を健全に保つこと」です。この視点の転換が21世紀の歯周ケアの基本です。
臨床でどう活かす?「口の中には良い菌もいる。マウスウォッシュで全部殺すのは逆効果になる場合もある」と伝えると、適切な口腔ケアへの理解が深まります。縁上プラークの管理と、プロフェッショナルケアによる縁下環境の改善が共生バランスの維持に直結します。
参考:天野敦雄「21世紀のペリオドントロジー ダイジェスト」クインテッセンス出版(2015)
それでは、また次回〜🦷✨