睡眠時ブラキシズム、どう見立てる?──国際基準が示す「疑い」から「確定」までの3段階
国際的な診断基準は、ブラキシズムを睡眠時と覚醒時に分け、診断の確からしさをpossible/probable/definiteの3段階で捉えます。所見をどう記録し、何を聞くとよいかを一緒に整理します。
今回参考にした論文は、ブラキシズムの国際的な診断基準(Lobbezooら, 2013・2018)と、成人の有病率をまとめた系統的レビュー(Manfrediniら, 2013)です。
咬耗の強さだけで「歯ぎしり」と判断するのは、実は簡単ではありません。
ブラキシズムは「病気」ではなく「行動」として捉える
国際的な診断基準では、ブラキシズムを咀嚼筋活動の反復と定義しています。そして、睡眠中に起こるもの(睡眠時ブラキシズム)と覚醒中に起こるもの(覚醒時ブラキシズム)を、分けて扱います。2018年の報告では、健康な人においては障害ではなく行動として位置づけるという整理も示されました。
possible/probable/definiteという3段階
この診断基準が示しているのは、確定か否かの二択ではなく、確からしさのグレードです。
- possible(疑いあり):本人の自己申告のみ。「歯ぎしりしていると言われた」「朝あごがだるい」といった話だけの段階
- probable(ほぼ確実):自己申告に加えて、診察で見つけた所見(咬耗、頬粘膜や舌の圧痕、骨隆起など)が加わった段階
- definite(確定):probableの情報に加えて、筋電図や睡眠ポリグラフといった機器での記録まで揃った段階
この3段階は、症状の重さや「病気かどうか」を表すものではなく、診断の証拠がどれだけ揃っているかという「確からしさのレベル」です。definiteまで確認できたとしても、それだけで「病気」と確定するわけではありません。
ただし、所見だけでは決めきれない
咬耗は酸蝕や加齢でも進みますし、圧痕は日中の食いしばりでも生じます。一方で、Manfrediniらの系統的レビューでは、成人において「頻繁な」睡眠時ブラキシズムの有病率は12.8%±3.1%、覚醒時ブラキシズムは22.1〜31%と報告されています。ただしこれらの多くは自己報告に基づくもので、精度には限界があると指摘されています。
声かけと記録が、次につながる
睡眠時ブラキシズムは、睡眠の状態や日中の様子と合わせて考えると、見えてくるものがあります。所見を経時的に記録し、患者さんの自覚を引き出し、気になる点を共有することが、次のアポにつながる一歩になります。「朝起きたとき、顎がだるいと感じることはありますか」「日中、上下の歯が触れていることに気づくことはありますか」。こうした一言から、見えてくるものがあるかもしれません。
それでは、また次回〜🦷✨
参考文献
・Lobbezoo F, Ahlberg J, Glaros AG, et al. Bruxism defined and graded: an international consensus. J Oral Rehabil. 2013;40(1):2-4.
・Lobbezoo F, Ahlberg J, Raphael KG, et al. International consensus on the assessment of bruxism: report of a work in progress. J Oral Rehabil. 2018;45(11):837-844.
・Manfredini D, Winocur E, Guarda-Nardini L, Paesani D, Lobbezoo F. Epidemiology of bruxism in adults: a systematic review of the literature. J Orofac Pain. 2013;27(2):99-110.