下顎前歯部、「ここは小さいからサッと終わらせよう」とつい力が入ってしまった経験はありませんか?でも後日「しみる」「歯ぐきが下がった気がする」と患者さんから言われてヒヤッとした──そんなあるあるが起きやすい部位でもあります。
下顎前歯部は「小さいから簡単そう」というイメージがありませんか?実は歯槽骨が薄く、叢生が多いという特性から、独自の注意点がある部位です。
下顎前歯の解剖学的特徴
・唇側の歯槽骨が非常に薄い(場合によってはほぼない)→ オーバーインスツルメンテーションで歯肉退縮のリスクが高い
・近遠心面に縦溝が存在することが多い(特に下顎側切歯の遠心根面溝が顕著)
・叢生・捻転している場合、隣接面へのアクセスが難しくなる
・癒合歯(象牙質・エナメル質で結合)が存在することがある(発生率0.3%程度)
・知覚過敏の好発部位のため、過度のインスツルメンテーションは要注意
薄い歯槽骨への配慮と叢生への対応
歯槽骨が薄い部位では最小限の侵襲でバイオフィルムと歯石の除去に集中します。歯肉が薄く感じられる場合は細めのブレードを選択し、水平ストロークを中心にアプローチします。叢生部位ではハンドインスツルメントが届きにくい場合に超音波スケーラーの細型チップが有効です。口唇圧・舌圧が強い患者さんにはミラーの表面と裏面を使い分けて排除する方法が効果的です。
臨床でどう活かす?下顎前歯部を担当する前に、叢生の程度と歯肉退縮の有無を確認しましょう。審美的に気にされる患者さんが多い部位なので、歯肉退縮について事前に説明しておくことがトラブル防止になります。
参考:小森朋栄ほか「歯科衛生士のためのインスツルメンテーション」ヒョーロン(2014)
それでは、また次回〜🦷✨