歯石を取り切りたい一心で、つい同じ部位に何度も器具を当ててしまう——そんな経験はありませんか?その丁寧さが、ときに治癒を妨げてしまうことがあります。
「しっかりやった」と思っていた処置が、実は患者さんに余計なダメージを与えていた——そうならないために、オーバーインスツルメンテーション(削りすぎ)について整理しておきましょう。
削りすぎが招く4つの問題
①健全なセメント質の損傷:再付着を阻害し治癒を妨げる。セメント質は歯根膜と歯根面を結ぶ重要な組織で、不必要に削ることは予後を悪化させる。
②知覚過敏の誘発・悪化:象牙質が過度に露出することで冷温痛が生じる。下顎前歯は特に好発部位。
③バニッシング:しなるキュレットで強い力をかけると、歯石を取り除くのではなく表面を磨き上げて平坦にしてしまう現象。歯石がガラスのように滑らかになり、取り残されたまま気づきにくくなる。
④術後疼痛の長期化:患者さんの信頼を損ない、次回来院を困難にする。
どこで止める?削りすぎを防ぐ判断基準
エンドトキシンは根面の表層に吸着しているだけなので、「確実にバイオフィルムと歯石が除去できている感覚」があれば、それ以上削る必要はありません。適切な除去を判断するためにも、シャープな器具での触覚確認が欠かせません。治療の成否は3カ月後の再評価で判断します。PPD4mm以下・BOP(-)なら成功、BOP(+)が続くならアプローチの見直しが必要です。
臨床でどう活かす?「まだ取れていないかも」という不安から必要以上に器具を動かしていませんか?シャープニングを習慣化して触覚確認の精度を上げ、「3カ月後の再評価で確認する」という評価サイクルを信頼することが、適切な侵襲量につながります。
参考:小森朋栄ほか「歯科衛生士のためのインスツルメンテーション」ヒョーロン(2014)/ 山本浩正監修「SRP修行論」医歯薬出版
それでは、また次回〜🦷✨