う蝕の現代的病因論
う蝕は「甘いものを食べると虫歯になる」だけでは説明できません。現代のう蝕病因論を整理します。
今回参考にした書籍は『Dental Caries: The Disease and its Clinical Management』(Fejerskov & Kidd)です。う蝕の現代的な病因論について詳しくまとめられています。
「砂糖を食べると虫歯になる」——この説明、患者さんにしていませんか?もちろん間違いではないのですが、現代のう蝕病因論はより複雑で多因子的です。
Keyes の輪からの進化
かつてはKeyes(1960年代)の「宿主・細菌・基質の重複」という三要因論が主流でした。現在はここに「時間」が加わり、さらに:
・唾液の量・質(緩衝能・抗菌成分)
・フッ素への曝露量
・口腔衛生行動
・食習慣(頻度・量)
・歯の形態
など複数の因子が複雑に絡み合うと理解されています。
ただし、細菌の役割は依然として重要です
一方で、う蝕の発生に細菌が必須であることは変わりありません。ただし、特定の細菌(ミュータンス菌)だけがう蝕を起こすという「特異感染説」から、口腔内の生態系の乱れ(ecological plaque hypothesis)という視点へと移行しています。ただし、このことは細菌コントロールの重要性を下げるものではないかもしれません。
まとめ:多因子疾患として捉える
・う蝕は「甘いもの×細菌」だけでなく、複数の因子が絡む
・患者さんごとにリスク因子が異なる
・個別のリスクアセスメントに基づいた予防指導が重要
この視点をもつと、指導の内容が変わるかもしれません。
参考文献
Dental Caries: The Disease and its Clinical Management 3rd ed. Fejerskov O & Kidd E. Wiley-Blackwell (2015)
それでは、また次回〜🦷✨