歯周病に自然治癒はない
2026年6月30日KO DH
「ちゃんと磨けば治る」は本当でしょうか。歯周病が完治しない2つの理由を整理します。
患者さんから「歯を磨いたら歯周病は治りますか?」と聞かれたことはありませんか?答えは「残念ながら、完治はしません」です。その理由を科学的根拠とともに正確に説明できますか?
理由①:バイオフィルムは機械的除去でしか対応できない
バイオフィルムが成熟すると、全体がグリコカリックス(菌体外多糖)に覆われます。このシールドは免疫細胞も抗菌薬も通しにくく、消毒薬やマウスウォッシュが内部の菌に届きません。さらにバイオフィルム深部の菌は休眠状態になり、薬が効いてもすぐ再増殖します。バイオフィルムを破壊できるのはSRPなどの物理的な機械的清掃のみです。
理由②:歯周病菌は組織内に侵入・潜伏できる
P.g菌などは歯周組織の細胞内に侵入し、免疫の届かない場所に潜伏します。菌を完全に駆逐することは、どんなに技術があっても不可能です。また歯槽骨の喪失や付着の喪失(CALの増加)は一度起きると元には戻りません。治癒とは「感染をコントロールして破壊の進行を止めること」であり、完全な修復ではないのです。
まとめ:「完治しない」からこそ定期管理が必要
「治らない」は絶望ではなく、「定期的なプロフェッショナルケアで低病原性状態を維持し続けることが重要」という意味です。この考え方を患者さんに伝えることで、継続来院への動機づけになります。
臨床でどう活かす?「歯周病は感染症ですが、ウイルスとは違って自然には消えません。専門家による定期的なケアが唯一の管理方法です」と伝えましょう。長期管理への理解が治療成功の鍵です。
参考:天野敦雄「21世紀のペリオドントロジー ダイジェスト」クインテッセンス出版(2015)/ 熊谷崇ほか「実践ペリオドントロジー」医歯薬出版(2002)
それでは、また次回〜🦷✨