ミュータンス菌とラクトバシラス菌
う蝕に関わる2大細菌、ミュータンス菌とラクトバシラス菌。それぞれの役割と、指標としての使い方を整理します。
今回参考にした論文は『Mutans streptococci and lactobacilli in caries research』(Scand J Dent Res)です。う蝕関連細菌の役割について詳しく解説されています。
「ミュータンス菌が多い=虫歯になりやすい」——この理解で正しいですか?実は、2つの菌はう蝕プロセスの異なるフェーズに関与しています。
2つの菌の役割の違い
ミュータンス菌(Streptococcus mutans等):
・初期定着・バイオフィルム形成
・酸産生力が強く、歯面への付着力が高い
・う蝕の「開始」に深く関与
・母子感染(垂直感染)することが知られている
ラクトバシラス菌:
・すでに形成されたう蝕病変内で増殖
・う蝕の「進行」に関与
・砂糖摂取頻度の指標になりやすい
ただし、特定菌だけがう蝕を起こすわけではありません
一方で、近年の研究では「ecological plaque hypothesis」(生態学的プラーク仮説)が注目されています。特定の菌ではなく、口腔生態系の乱れ(酸性環境への傾き)がう蝕を引き起こすという考え方です。ただし、ミュータンス菌・ラクトバシラス菌の菌数はリスク指標として臨床的に有用なのは変わらないかもしれません。
まとめ:菌数を正しく解釈して指導に活かす
・ミュータンス菌数 → う蝕発症リスクの指標
・ラクトバシラス菌数 → 現在の糖摂取頻度の指標
・菌数が高い場合はフッ素強化+食事指導を優先
2つの菌の違いを知ることで、患者さんへの説明が変わるかもしれません。
参考文献
van Houte J. Role of micro-organisms in caries etiology. J Dent Res. 1994;73(3):672-681.
それでは、また次回〜🦷✨